美しい花には ・・・ がある

らもす・・・このお花って、とっても美しいんだけどね~

その花の名前を聞くと思い出す。

それは、小学4年生の頃の話。
当時、先生たちのほとんどが動きやすい体操着やズボンを穿いていたが
私のクラスの担任は、いつも色鮮やかなオーダーメイドの洋服を着ていた。
チューリップ型のスカート、襟の大きなちゅるりらブラウス。
クリンとカールさせた大きな髪型。
真っ赤な口紅。香水とおしろいの独特の匂い。
歳は50前後くらいだったろうか・・・とてもオシャレな女の先生だった。

その先生は、いつも背筋をしゃんと伸ばし、
厳しくて、もの凄く恐い先生だったけど、私はその先生が好きだった。
その先生は主に音楽や美術を得意とする先生で
合唱コンクールがあれば指導と指揮者を
演劇コンクールがあれば脚本と監督を
絵画コンクールがあれば選出をしていた先生だった。

ある日 その先生が、女子生徒をモデルに絵を描くと言う
その子のイメージにぴったりな「花」を添えて描くと言う
その日 先生の気分で選んだ生徒を描くと言う
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ある子は ひまわり と一緒に笑顔で描かれてた
ある子は サクラ と一緒に優しく
ある子は チューリップと一緒に可愛く
ある子は カスミ草と一緒に可憐に
ある子は ユリと一緒に美しく
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私は 「可愛いチューリップか、元気なヒマワリがいいな~」と密かに期待していたが
モデルに選ばれたときには、私の知ってる花は全て出尽くしていた。

色紙に色鉛筆と水彩絵の具で描かれた私の顔。
私の顔の横に描かれた花は、オレンジ色した大きな花だった。
「これは、何て言うお花?」
そう先生に尋ねると

ケシ・・・
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そう答えてくれた。

その頃の私は、ケシ という花を知らなかった。
クラスメイトに聞いても誰も知らないと言う。
どんなお花なんだろう?と
急いで図書室へ行き、植物図鑑を開く。

ドキドキっ ドキドキっ ドキドキっ

そこには、深いオレンジ色した綺麗な花の写真があった。
「うわぁ~。ケシって、きれ~~~」
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誰も知らない ケシ という花。
元気なヒマワリより、可愛いチューリップより、
特別な、私だけの、ケシの花。 とても嬉しかったことを覚えてる。

あの文字を見つけるまでは・・・




写真の下には、こう書いてあった。
毒 ・・・
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その一文字に驚き、他はあまり覚えてない。
毒 ・・・
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先生は、私の事を、毒を持ったイヤな子って思ってるんだ・・・
涙顔になるのを、ぐっとこらえ、ぎゅっと唇を噛んだ。

先生、わたし
明日から、綺麗な高音を出せるよう頑張るよ
明日から、百姓1の役を恥ずかしがらずに頑張るよ
明日から、明日から・・・良い子に なるよ


いつの日か、この先生に会ったら聞いてみよう。
ケシの花を描いた理由を笑って聞いてみよう。

しかし、もう 答えてはくれない。
先生が、遠いところへ旅立ったと知ったのは
ケシのことも、先生のことも、すっかり忘れてた頃。
もう何年も前のこと。

世界には、何百、何千、何万・・・と、
数え切れないほどのお花が 頑張って咲いている。

あなたなら・・・
あなたの横に どんなお花を描いて欲しいって思うだろうか。

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by loveletterjunkone | 2010-05-26 20:00 | 思い出